江戸川乱歩『人間椅子』
面白かった…。
狂気に満ちた題材で、読んでいて「こういう特殊な性癖持ってる人っているよなー」っていう漠然とした感想と恐怖を持ちながら読んでました。最後の展開にはびっくりです。
あらすじ
作家佳子の元に原稿が一通届いた。「奥様」から始まるこの文章には、原稿の書き手の男の、数ヶ月間の生活についてが書かれていた。男は椅子職人であり、上物ばかりを作る腕利きだった。しかしある時、自分が丹精込めて作った椅子を手放したくないという思いから、「イスの中に入る」という考えに至り、細工をし、人間一人が入れるスペースを拵えた。
そのようにイスの中での暮らしやそこに座る人たちへの思いを書いた作品である。
物語は、ほとんどが男からの手紙で構成されており、自分がこの手紙を受け取ったような気持ちになりながら読むことができる。
題材の気味の悪さもあり、物語全体から狂気を感じるが、展開としてはしっかり完結しており、江戸川乱歩はやっぱりすごいな、と思わせるような一冊。
人間椅子 江戸川乱歩ベストセレクション(1) (角川ホラー文庫)
- 作者: 江戸川乱歩
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/05/24
- メディア: 文庫
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