私にふさわしいホテル
小説家が描く出版業界の裏側は、難しく厳しい興味深いものだった。
作家を目指す加代子が大御所東十条を足がかりに様々な方法で小説界でのし上がっていこうとする姿をおもしろく描いた作品。野心とバイタリティに溢れ、どんな手を使ってでも賞を取ろうとしたり売れようとする主人公の加代子には、いつのまにか忘れていたがむしゃらさや、何が何でも夢を叶えるという強気な心、自信を感じた。永遠にもがき続けることの美徳を感じた。
成功しているから言えることかもしれないけど。
コミカルタッチで読みやすく、スラスラ読めたけど、内容的には小説界の裏側を書いたものなので、読んでいる本が次第に重みを増しているような感覚を覚えた。
様々な賞を受賞している柚木麻子氏が書いているからこそのリアリティや面白さがあり、最近読んだ中ではかなり面白かった作品。
わたしにふさわしい○○って言えるぐらいの自信を常に持っていたい。